Candy House

カランコロンカランと、ドアの横にあるベルが鳴った。

あ、あたしが働き始めてから初めてのお客さんだ。

「いらっしゃい…」

「ゲホッコボッゴフンッ!」

あたしのあいさつは大きな咳によってかき消された。

「ヤベッ!」

上野さんは慌てたようにタバコの先を灰皿に押しつけた。

安部さんは灰皿をレジテーブルの下に隠した。

えっ、どうしたの?

誰がきたの?

訳がわからないあたしをよそに、慌てている2人は消臭スプレーを周りに吹きかけていた。

「もう遅いわよ!」

ソプラノの済んだ声に視線を向けると、高い位置で留められている2つの三つ編みが特徴的な女の人だった。