Candy House

「ノゾミちゃんは不動産屋に入ったドロボーを見た、って言ってんだよ!」

…安部さんはバカじゃなかった。

「安部くん、力加減を覚えようよ…」

殴られた後頭部を手でさすりながら、上野さんが涙声で言った。

「ぶつかっただけで、顔は見ていないです!」

あたしは首を横に振った。

「いや、それだけでも充分だって!

とにかく、もう1度不動産屋のところへ戻ろう。

まだおまわりがいるかも知れない!」

「えっ、えっ、ええっ!?」

上野さんに腕をひかれ、安部さんに背中を押されるまま、あたしはもう1度不動産屋さんへ向かわされた。