Candy House

「用意周到なドロボーだな、おい」

上野さんが毒づくように言うと、不動産屋さんに視線を向けた。

…んっ?

ふと、あたしは思い出した。

そう言えば…昨日あたし、男にぶつかったよね?

あの男の人、何か急いでいたよね?

それに今思うとあの男の人、不動産屋さんがある方向から走ってきたような…?

「ノゾミちゃん、どうかした?」

そう聞いてきた麻子さんに、
「いえ、何でもないです」

あたしは首を横に振って答えた。

まさかね、偶然だよ偶然。

不動産屋さんがある方向から走ってきたけど、それが不動産屋さんのところに入ったドロボーとは限らない。