その後、何回かサイクリングロードで茜に会った。

茜は必ず

「アオ!!おはよう」

と声をかけてきた

俺は

「うん」

とだけ答え
顔をチラッと見て
目の前を通りすぎて行く。

“俺は照れてる訳じゃねぇし"

と自分に言い聞かせてる気になった。

だからある日、俺が先に声をかけた。


「茜!!」

「あっ!アオおはよう」

「あのさぁーアオって…」

「碧だからアオ…ダメ?」

「いや別に」

あだ名を付けられたのは初めてだ。

「アオー今日さぁ、あの駄菓子屋行かない?」

「……ん?」


“はぁ?俺を誘ってんの!?"


「あのさぁ帰りに自転車置場で待ち合わせしよっ」


「…」

「アオ?…やっぱダメかー」


「…待ってろ」


「えっ!?」

「チャリ置場で待ってろ!!」

「うん!!やったー」


そんな事で顔をクシャクシャにして無邪気に笑う。
そんな茜は
今まで出会った女とは全然違う気がした。