この気持ちに気付かないで


「ほんとに彼氏欲しいの?」


桜は突然の話題に、驚いたように目を見開いた。


違うっていってくれ!


桜が固まってる。



「ねぇ。欲しいの?」


何を思ってるのか知りたくて顔を覗き込む。


いつも桜色なのに茹で蛸みたいに真っ赤になってる・・・・


誰のことをおもってそんな顔をしてるんだよ。


俺のことを見ててよ。


ずっと隣にいろよ。


他のやつのことなんか考えるなよ。










「・・・・・欲しい」


ずんっ!



嫌な衝撃が俺を貫く。


・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・



「・・・・・ふーん。好きなやつでも居るの?」



赤い唇が何かいおうと動き出す。


艶やかなその唇は


「いますけど」


そう言い切った。


「・・・・そう・・・なんだ。」




その唇も俺以外の誰かが奪うの?


その時桜はどんな顔をするの?


俺が見たこともないような、


一生見ることも出来ないような顔でそいつを見上げるの?



桜の赤い唇に映えるように白いクリームが着いた。


ぷつん。



俺の中の何かが音をたてて切れた。