そんなことをしていたから、多分前をよく見ていなかったのだろう。


曲がり角からでてきた人にぶつかってしまった。



「あっすいま…」

「ご、ごめん!前をよく見ていなくて…」




その人はそれだけ言って、急いで歩いて行ってしまった。

男の人とまともに会話したのは久しぶりだ。



それにしても、あの人は誰なのだろう。
私と同じ制服を着ていたから、中学は同じ。
でも見たことはない。オトナっぽい感じだったから、多分、3年生の先輩なんだと。私はそう自覚した。