鏡を見るのが嫌になって、無造作に髪を低い位置でひとつに留めると戸締まりをし、鞄を持って家を後にする。
 家を出ると其処には既に幼馴染みの姿があった。

「今日は入学式だろー。俺ら主役が遅刻しちゃだめだろー」

アイツは笑顔で私を迎えるが、私は一切表情を変えない。しかもなぜ私の家の前にいるんだコイツ。深い色の茶髪でフワフワの癖っ毛でさほど長くなく、顔は整っている。目は少々たれ目気味で瞳の色は髪と同色。

「お前もっとさ、笑ったりしろよ。学校でなんて呼ばれてたか知ってるか?鉄仮面だぞ」
・・・鉄仮面。もう少しマシな呼び方はなかったのか。
まあどうでもいいが。お前遅刻するぞ、速く歩け。今日から私も俗に言う中学生だ。

 義務教育という制度らしいが実施されてからまだ20年程度しかたっていない。別世界で導入されている制度を真似て作られたらしい。
 歩いて10分程でこれから3年間通うであろう校舎に着いた。
 学校へ着くと生徒玄関にクラス分けが張り出されていた。
「あれっ?俺たちの名前がねーぞ?」
張り出されたクラス分け表に私たちの名前はなかった。