「蒼衣。」

呼ばれて振り返った君。
笑顔でこっちに駆け寄ってきて、

「拓磨!」

思いっきり抱きついてきた。
愛しすぎて、蒼衣の倍の力で抱き返した僕。

「苦しいよぉ。」

嬉しいくせに。


だけど、こんなこと学校じゃ絶対出来ない。


「蒼衣!」


「健太」


君には一つ上の彼氏がいて、


“ 私、浮気されたんだ 。 ”


大好きだった人に裏切られた君は、
まるで糸を切られた人形みたいな
悲しい目をして僕に言った。


“ ねぇ、私を助けて。 ”


大好きだったんだ。本当に。


僕らは、暗闇へと歩いていった。


それから、お互い会うようになった。

君がいなかったら、今の僕はいないだろう。


こんな幸せな日々が続くと思っていた、
僕がバカだった。