「ああもう、いいから出ましょう。帰らないと」 ベッドの周りを囲んでいるカーテンを開くと、窓の外が夕暮れに近付いているのが分かった。 脱いでいた靴をはき直しながら部屋の中央に出ていくと、ふと、壁の鏡に映った自分の姿が目に入る。 小柄でもなければ細くもない体。 かわいくもない顔。 寝起きでぼさっとした頭、だけはとりあえず手櫛でどうにかする。 私の後に続いてベッドから出てきた先生は、35になっても輝くばかりのイケメンだというのに。あくびをしても格好いいというのに。 なんという格差か。