「誰だよ、お前」
あたしの腕を掴んでいる男は、イラついているのか低い声を出した。
そこには、
そこには……
「そいつ、俺の知り合いだから。離してやって」
「こいつ笑顔だったし。自分からついてきたみたいなもんだけど?」
「泣きそうな顔してるのに?」
「っ……」
男達はバツの悪そうな顔をした。
男達から離れるチャンスなのにあたしは、目の前にいる人物を見て驚いたまま動けなくて。
目の前にいる〝その人〟は、男達を避け男に掴まれている腕と反対の腕を掴んで、自分の方へとあたしを引っ張る。
もちろん、男は油断していたためあたしの腕はするりと男から離れた。
「……ってことで、さいなら」
あたしの肩をギュッと掴んだ〝その人〟が男達に手をシッシッと、まるで去れとでも言うかのように振った。
「……くそっ」
「行こうぜ」
男達はキッとあたし達を睨んだ後、ホームから消えて行った。


