30差の片想い








「で、その子がどうしたの?」


「ああ……ちょっと酷いことしちゃって」


「酷いこと?」


 叶恋が不思議そうに首を傾げる。



「うん……嘘、ついた」


「う、そ……?」


「コウタの好きな奴に、好きな人がいるんだけど……それ知りながら、協力するって言ってさ……」



 失恋の痛みも、苦しみも。

 痛いほど知ってる俺だから。


 コウタにそんな思いしてほしくないのに。



 ああ、叶恋引いたかな……?

 なんていきなり黙り込んだ叶恋に不安を覚え始めたころ。


「ぷっ、ははっ」

 叶恋は楽しそうに笑い出した。



「え、なんだよ」


「いや、だって……ははっ」



 叶恋の予想外の行動に困惑していると、叶恋は一通り笑い終え、目に溜まった涙を拭きながら、

「嘘っていうからなんなのかなって思ったら、そんな、ことっ……」


「え、ちょっと俺にとっては大きい話……」


 話している間に思い出したようで、笑いながら言う叶恋。



「いや、面白くて。ごめっ、はは……てか、そのコウタくんが好きなの、あたし、でしょ……?」

 そしてその流れで、爆弾を投下した。