ああ、今、なんとなくだけど。
コウタが叶恋を好きになったのが、分かった気がした。
コウタとどんな仲なのかは知らないが、もしかしたらこういう所にコウタは惹かれたのかもしれないな、と思った。
明るくて、不器用。いつだって綺麗な笑顔で、楽観的に見える。
だけど、きちんと相手を見ていて。痛いところを突いてくる。
絶対、彼女に嘘は吐けない。
「……コウタ」
「はっ?」
「萩野(はぎの)コウタっていう友達が、いるんだけど……」
この言葉だけじゃ伝わらないだろうと分かっているけど、叶恋がコウタを知らないかもしれないから、一応それだけ先に伝えた。
そんな俺の言葉を聞いて、叶恋は「ああ……」なにかを思い出したように声を出す。
「透といつも一緒にいる男の子……だよね?あの子もモテるんだよなぁ」
「あ、知ってたんだ?」
少しショック……なんて、なに思ってんだろう。
叶恋は俺じゃないんだし、別にコウタのこと知ってるくらい当たり前だろう。
っていうか、コウタ的には喜ばしいことだし、俺くらいは喜んでやらなきゃ……。
ただ、叶恋には仲間意識があって、俺にとって〝特別な人〟だから、なんかそうじゃなかったんだな……って。
俺らしくないけど、初めて分かり合える人が出来たことに浮かれていたから、少し俺と違う所を見つけて残念だった。
まあ、叶恋は叶恋だ。
俺とは違うし、女だし……。
頭を横にフルフルッと振って気持ちを一斉すると、俺は叶恋を見つめた。


