30差の片想い








 ああ、今、なんとなくだけど。


 コウタが叶恋を好きになったのが、分かった気がした。



 コウタとどんな仲なのかは知らないが、もしかしたらこういう所にコウタは惹かれたのかもしれないな、と思った。




 明るくて、不器用。いつだって綺麗な笑顔で、楽観的に見える。


 だけど、きちんと相手を見ていて。痛いところを突いてくる。

 絶対、彼女に嘘は吐けない。




「……コウタ」


「はっ?」


「萩野(はぎの)コウタっていう友達が、いるんだけど……」



 この言葉だけじゃ伝わらないだろうと分かっているけど、叶恋がコウタを知らないかもしれないから、一応それだけ先に伝えた。


 そんな俺の言葉を聞いて、叶恋は「ああ……」なにかを思い出したように声を出す。





「透といつも一緒にいる男の子……だよね?あの子もモテるんだよなぁ」


「あ、知ってたんだ?」



 少しショック……なんて、なに思ってんだろう。


 叶恋は俺じゃないんだし、別にコウタのこと知ってるくらい当たり前だろう。

 っていうか、コウタ的には喜ばしいことだし、俺くらいは喜んでやらなきゃ……。


 ただ、叶恋には仲間意識があって、俺にとって〝特別な人〟だから、なんかそうじゃなかったんだな……って。

 俺らしくないけど、初めて分かり合える人が出来たことに浮かれていたから、少し俺と違う所を見つけて残念だった。


 まあ、叶恋は叶恋だ。

 俺とは違うし、女だし……。


 頭を横にフルフルッと振って気持ちを一斉すると、俺は叶恋を見つめた。