ああ、なんか面倒臭いな。
「なんだよ、言いたいなら言えよ」
「えぇー、別に言いたいわけじゃねぇよ?ただ、お前が聞きたいなら……」
「聞きたくない」
「えぇー、嘘つかなくてもいいんだぜ?」
「ああ、もう!めんどくせぇな」
俺はガバッと起き上がると、コウタを睨んだ。
こういう意味のないやり取りが一番嫌いなんだよ、俺は!
という、目だ。
コウタは一瞬驚いた顔をしたが、すぐににやけ始める。
「じゃあ、特別に教えてやるよ」
「ああ」
『特別に』の部分を強調したのがムカつくけど、聞き流す気満々でそう返事をすると、
「ほら、三組の可愛い子だよ!」
コウタの面倒臭い所。
はっきりと言わない、曖昧な言葉ばかり並べる所。
はっきりと名前言えっての。
〝女〟というものに興味のない俺に、そんなので誰か分かると思うか?
中学から一緒という仲なのに、勘付くということができないコウタにイラつきを覚える。
「誰だよ、それ」
「分かんねぇの?あっらー、透ももうちょっと女っ気持った方がいい……」
「黙れ」


