30差の片想い







 ああ、なんか面倒臭いな。



「なんだよ、言いたいなら言えよ」


「えぇー、別に言いたいわけじゃねぇよ?ただ、お前が聞きたいなら……」


「聞きたくない」


「えぇー、嘘つかなくてもいいんだぜ?」


「ああ、もう!めんどくせぇな」



 俺はガバッと起き上がると、コウタを睨んだ。


 こういう意味のないやり取りが一番嫌いなんだよ、俺は!

 という、目だ。


 コウタは一瞬驚いた顔をしたが、すぐににやけ始める。


「じゃあ、特別に教えてやるよ」


「ああ」


 『特別に』の部分を強調したのがムカつくけど、聞き流す気満々でそう返事をすると、



「ほら、三組の可愛い子だよ!」


 コウタの面倒臭い所。

 はっきりと言わない、曖昧な言葉ばかり並べる所。

 はっきりと名前言えっての。


 〝女〟というものに興味のない俺に、そんなので誰か分かると思うか?


 中学から一緒という仲なのに、勘付くということができないコウタにイラつきを覚える。




「誰だよ、それ」


「分かんねぇの?あっらー、透ももうちょっと女っ気持った方がいい……」


「黙れ」