30差の片想い





 ……優しい貴方のことだから。



 それもそれでいいな。


 でも、困らせる気はないから。




 だって、貴方はあたしにとって大事な人だから。


 それに……






「ふふっ、あたし、もうこの時間気に入っちゃったんで。ずらせませんから」



 なにも気にしてないよ?って感じの笑顔は、上手く出来ているかな?


 もう、慣れちゃったよ。

 すごい自然な笑顔の作り方に。




「あたし、意外と気に入ったんですよ。朝の綺麗な空気も、卵焼きの匂いも。混んでない電車も、センセイにちょっかい出すことも」


「おい、最後のなんだ」




 確かに、この時間は好きだ。


 あの日、この時間を見つけてから、毎朝早起きして。空気の良い町を歩くのも好きになった。



 センセイと居られる。


 今は、今だけは、あたしだけのセンセイ。




 ただね、毎日辛いんだ。


 願っていることなのに、駅に向かう足取りは重く、いつも後悔してしまう。