……優しい貴方のことだから。
それもそれでいいな。
でも、困らせる気はないから。
だって、貴方はあたしにとって大事な人だから。
それに……
「ふふっ、あたし、もうこの時間気に入っちゃったんで。ずらせませんから」
なにも気にしてないよ?って感じの笑顔は、上手く出来ているかな?
もう、慣れちゃったよ。
すごい自然な笑顔の作り方に。
「あたし、意外と気に入ったんですよ。朝の綺麗な空気も、卵焼きの匂いも。混んでない電車も、センセイにちょっかい出すことも」
「おい、最後のなんだ」
確かに、この時間は好きだ。
あの日、この時間を見つけてから、毎朝早起きして。空気の良い町を歩くのも好きになった。
センセイと居られる。
今は、今だけは、あたしだけのセンセイ。
ただね、毎日辛いんだ。
願っていることなのに、駅に向かう足取りは重く、いつも後悔してしまう。


