～透side～
目の前にいるこいつは、目を丸くさせて驚いているようだ。
それを無視して話す俺。
半強引にこの話を聞かす理由は、こいつを安心させたいからじゃない。
確かに、それもあるっちゃある。
同じような気持ちを持ってる人がいるって、知ってほしいと。
けれど、本当はただ聞いてほしいっていうワガママなんだ。
こいつなら、大丈夫だと思った。
俺と同じような悩みを抱えているこいつなら、俺が誰にも話さなかった〝あのこと〟を理解してくれると思ったんだ。
ずっと、誰かに聞いてほしかった。
でも、言えなかった。
でも、こいつになら……。
「俺もさ、叶わない恋をしてる」
俺の、４年半の片想いの話だ。
