30差の片想い









 あたしも透も同時に駆け寄り合い、あたしは透に抱きついた。

 透はあたしをぎゅっと優しく、けれど力強く抱きしめてくれた。




「透、酷いこと言ってごめんねっ……!」


「俺も、ごめんな……しかも叶恋、仲直りしようと来てくれてたのに……」


「ううんっ、透を怒らせたあたしが悪いんだもん」


「いや、あの時にはもう怒ってなかったから……」


「えっ、怒ってなかったの!?」


 あたしはそう叫んで、透から離れる。


 でも、確かにあの時透怒ってたよね……?



「まあ、泉田と色々あって。俺邪魔かなーっと思ったんだ。だからわざと……」


「センセイ?邪魔って?っていうかわざとだったんだ」


「あー、うん……じゃあ叶恋と喧嘩してから俺に起こったこと、話すわ」



 透がそう言った時、「キーンコーンカーンコーン」とタイミング悪くチャイム音が鳴った。

 これは、昼休み終了のチャイムでもあり、五時間目の開始5分前のチャイムでもある。


 あたし達は一瞬固まった後、顔を見合わせて、

「じゃあ、この続きは放課後、池でしよっか」


「そうだな」


 笑い合った。






 まるで、夢のようだ。


 好きな人と想い合えることがこんなにも幸せなことだって、知らなかったよ。


 そう感じられるのはきっと、センセイのことが好きだったあの日々のおかげ。

 辛くて苦しくて泣いてばかりだったけれど、そのおかげで今、幸せだって心の底から思えるんだ。