「……俺も、話したいことがある」
透の口から出てきた言葉は、それだった。
あたしはあえて黙って、透の話の続きを待つ。
透もそんなあたしの気持ちを悟ったのか、ゆっくり話し出す。
「……この前両親の結婚記念日だったんだけどさ、俺、初めて二人に「おめでとう」って言えたんだ。ずっと、言えなかったのに」
「え……?」
どうして?
その言葉しか出てこなかった。
「……なんでだろうって思って、考えて。で、気付いた。俺、もう母さんのこと好きじゃない」
そう言った透の表情は、とても和やかで全てを吹っ切ったかのようだった。
「……それと、お前が気付いたように、今やっと気付いた気持ちがあるんだ。……コウタのおかげかも」
トクントクン……と、胸の鼓動が速まっていく。
何故か、何故か、良い予感がするんだ。
透はあたしの顔を見て、優しく微笑んだ。
そして、
「俺も、お前のことが好きだよ。離れていた間も、ずっと叶恋のことを想ってた」
なんて、カッコいいこと言うんだ。
あたしの目から、涙が零れた。
それは、いつものような悲しい涙じゃなくて。
とっても温かい、嬉し涙だった……。


