30差の片想い








「……俺も、話したいことがある」


 透の口から出てきた言葉は、それだった。


 あたしはあえて黙って、透の話の続きを待つ。

 透もそんなあたしの気持ちを悟ったのか、ゆっくり話し出す。


「……この前両親の結婚記念日だったんだけどさ、俺、初めて二人に「おめでとう」って言えたんだ。ずっと、言えなかったのに」


「え……?」


 どうして?

 その言葉しか出てこなかった。



「……なんでだろうって思って、考えて。で、気付いた。俺、もう母さんのこと好きじゃない」


 そう言った透の表情は、とても和やかで全てを吹っ切ったかのようだった。



「……それと、お前が気付いたように、今やっと気付いた気持ちがあるんだ。……コウタのおかげかも」


 トクントクン……と、胸の鼓動が速まっていく。

 何故か、何故か、良い予感がするんだ。



 透はあたしの顔を見て、優しく微笑んだ。


 そして、

「俺も、お前のことが好きだよ。離れていた間も、ずっと叶恋のことを想ってた」

 なんて、カッコいいこと言うんだ。



 あたしの目から、涙が零れた。

 それは、いつものような悲しい涙じゃなくて。


 とっても温かい、嬉し涙だった……。