30差の片想い







 あたしのこと、怒ってたんじゃなかったの?

 喧嘩別れしたあの日からも、透はあたしのことずっと……?


 ねえ、それって……

「透、あたしのこと、好きなの?」



 自然と口から漏れていた言葉だった。

 透はその言葉を聞いた瞬間、あたしから目を逸らした。



 胸が、ツキンッと傷つく。


 分かっていた。


 透があたしのこと好きなわけないって。

 透はずっと、お母さんのことが好きなんだもんね。


 なのに馬鹿みたいな質問をしている自分に嫌気が差す。

 あたしはそっと俯いた。



「……ねえ、透。あたしね、センセイのこと、もう好きじゃないよ」


「………え?」


 透のその驚いたような声を聞いて、あたしは微笑んだ。



「あたしね、一生センセイのことを想い続けるんだって思ってた。叶わない恋を、不毛な恋を、一生。……でも、終わったんだ。あたしの恋」


「……それは、恋するのをやめたってこと?それだったら俺……っ」


「ううん、違う。好きじゃなくなったの。自然と、終わってた」


「っ……」


 あたしは顔を上げ、近くに立っている大木を見つめる。


「あたしね、沢山泣いたの。センセイを好きになって、あり得ないほど泣いた。だけど最後は笑顔で終われたから、良かったなぁって思うよ。」