あたしのこと、怒ってたんじゃなかったの?
喧嘩別れしたあの日からも、透はあたしのことずっと……?
ねえ、それって……
「透、あたしのこと、好きなの?」
自然と口から漏れていた言葉だった。
透はその言葉を聞いた瞬間、あたしから目を逸らした。
胸が、ツキンッと傷つく。
分かっていた。
透があたしのこと好きなわけないって。
透はずっと、お母さんのことが好きなんだもんね。
なのに馬鹿みたいな質問をしている自分に嫌気が差す。
あたしはそっと俯いた。
「……ねえ、透。あたしね、センセイのこと、もう好きじゃないよ」
「………え?」
透のその驚いたような声を聞いて、あたしは微笑んだ。
「あたしね、一生センセイのことを想い続けるんだって思ってた。叶わない恋を、不毛な恋を、一生。……でも、終わったんだ。あたしの恋」
「……それは、恋するのをやめたってこと?それだったら俺……っ」
「ううん、違う。好きじゃなくなったの。自然と、終わってた」
「っ……」
あたしは顔を上げ、近くに立っている大木を見つめる。
「あたしね、沢山泣いたの。センセイを好きになって、あり得ないほど泣いた。だけど最後は笑顔で終われたから、良かったなぁって思うよ。」


