30差の片想い






 俺がそう言った瞬間、いきなり黄色い声が浴びせられる。


「キャーッ、速水くんだ!」


「何しに来たんだろうー♡」



 俺はその甲高い声に、眉を顰めた。


 うるさっ……と思いながら、もう一度。



「誰でもいいから答えて。叶恋どこ?」

 俺がそう言うと、今度はその黄色い声がピタリと止む。



 すると、一人の女が俺に近づいてきて、

「叶恋に何の用?」

 と聞いてきた。



「……別に。どこ行ったか知らない?」


 とてもじゃないけど、親友が叶恋に告るって言ったから気になって追いかけています、なんて言えないし。

 だから、俺はそれで通した。



「ふぅーん……叶恋なら、コウタくんって人に呼ばれて中庭に行ったけど?あ、でもきっと告白だから行かないほうが……」


「ありがとう!じゃあっ!」


 俺は女の話を最後まで聞かずに、再び走って中庭へと向かった。


 後ろで、

「え、ちょっ!」

 なんて聞こえたけど、もうどうでも良かった。



 なんでコウタを追いかけているのか、よく分からない。


 コウタに告白させないためか?

 だとしたら、どうして?