そんな俺を、周囲の奴らは不思議そうに見つめている。
まあ、校舎を全力疾走する奴なんてあまりいないんだから、当たり前か。
普段極力目立たないように過ごしているけれど、今だけは周りの目なんてお構いなしでいいよな?
息が上がって、汗も出てきた頃、俺はある教室の前で立ち止まった。
「ハア……ハア……」
そこは、1-3。
つまり、叶恋の教室だ。
無意識に来たのだが、我ながらいい判断だったと思う。
だってコウタもここに来たはずだから。
もしかしたら、叶恋の友達か何かが行き先を知っているかもしれないのだ。
っていうか、叶恋まだいるかもしれないな……。
やっぱり本人に会うのは気まずくて、そっと教室を覗く。
「……いないっぽいな」
教室を一通り見渡して、ほっと胸を撫で下ろした。
そして、俺は勢いよく教室のドアを開ける。
正直、母さんのことでケリはついても、女は苦手だ……。
俺がずっと女を嫌っていたせいだと思うけど。
もちろん、今もクラス全員の視線が俺へと集まっている。
まあ、男に見つめられるのも嫌だが。
なんて思いながら、俺は髪を掻き上げる。
「なあ、櫻井叶恋ってどこ行ったか知らない?」


