「……じゃあ俺、櫻井さんに告ろっかなぁ」
コウタは空を見つめながら、そう呟く。
そして「なっ?」俺に視線を向けて来るが、俺は即座に逸らした。
「……好きにすれば?」
俺には関係ないだろって思った。
どうやらコウタはまだ、俺が叶恋のことを好きだって勘違いしているらしい。
本当、いい加減にしてほしい。
そんなこと、本当にないから。
だからこそ、言った言葉だった。
「…………。」
だけどコウタは黙ったまんま。
まだ信じてねえのかよ……。
はあ、とため息を吐くと、俺は呆れ気味に、
「だから、俺は叶恋のこと、本当になにも思ってなっ……」
コウタのほうに視線をやるが、そこには、
「……って、行動早いな、おい」
もう、誰もいなかった。
「……たく、なんなんだよ」
俺はさっぱり食べる気力を失って、弁当をもう一度袋に閉まって、ゴロンと床に寝転がった。


