30差の片想い






 俺は、どうしたい?

 叶恋への気持ちは?本当の想いは?


 叶恋じゃない、俺だ。

 俺はきっと、気付いていないんだ。


 例え、現実は変わらなくても。


 遅くなる前に、気付かないと。

 俺の中で、決着をつけないと。



 俺は、じっと自分の弁当を見つめた。



 母さんが作ったご飯は、大嫌いだったな。


 母さんが作るご飯には、いつも大きな愛が詰まっていたから。

 家族愛、なんていう要らない愛が。


 すっげえ美味くて、大好きだったから。

 だから、胸が余計痛くなって、大嫌いだった。


 でも今は、ただの〝お袋の味〟だ。


 こうなったのは、何のせいだ?何のおかげだ?

 俺がこんなにも苦しんで、でも終わらせられなかった恋を終わらせたのは、本当に神様なのか?

 本当は、誰のおかげ?


 誰が、俺を〝未来〟に連れて行ってくれたんだ?

 過去にしがみついてばかりだった俺を、優しく見守ってくれたのは誰だ?


 俺は、誰に言いたいんだろう。

 この恋の終わりを。

 終わったよって、誰に一番伝えたいんだろう。


 俺を変えてくれた、誰よりも大切な人は……一体、誰なんだろう。



「ん?食べねえの、透」