30差の片想い







 着替え終わり再びリビングへ行くと、父さんも帰って来ていて、イチャついていた。



「……あ、透。おかえり」


「ああ、父さんこそ」

 とか言いながら、また馬鹿な親に呆れる。


 そして、

「イチャつくのいいけど、俺の気持ちも考えろよ」

 って言って笑う。


 今まで、結婚記念日はなるべく部屋から出ないようにしていた。

 いつもに増して幸せそうな二人の姿を、見たくなかったからだ。


 だけど今日は自分に起こっている異変を確かめるため、わざとリビングに来てみた。

 ……が、やっぱりなにも感じない。


「悪い悪い」

 父さんは、そう全く悪びれる様子もなく言った。



「はぁ……まあ、おめでとう」

 俺はそう言うと、ジュースを取りにキッチンへと向かう。





「あらっ、透に初めておめでとうって言われちゃったわね」


「そうだな、嬉しいなぁ」



 そんな両親の声を聞いて、俺はハッとした。

 もうすぐで、手に持っているグラスを落としてしまう所だった。


 二人に言われるまで気づかなかったけど、俺……。

 二人に、おめでとうって言った?



「……嘘、だろ」

 二人に聴こえないように、そっと呟いた。