着替え終わり再びリビングへ行くと、父さんも帰って来ていて、イチャついていた。
「……あ、透。おかえり」
「ああ、父さんこそ」
とか言いながら、また馬鹿な親に呆れる。
そして、
「イチャつくのいいけど、俺の気持ちも考えろよ」
って言って笑う。
今まで、結婚記念日はなるべく部屋から出ないようにしていた。
いつもに増して幸せそうな二人の姿を、見たくなかったからだ。
だけど今日は自分に起こっている異変を確かめるため、わざとリビングに来てみた。
……が、やっぱりなにも感じない。
「悪い悪い」
父さんは、そう全く悪びれる様子もなく言った。
「はぁ……まあ、おめでとう」
俺はそう言うと、ジュースを取りにキッチンへと向かう。
「あらっ、透に初めておめでとうって言われちゃったわね」
「そうだな、嬉しいなぁ」
そんな両親の声を聞いて、俺はハッとした。
もうすぐで、手に持っているグラスを落としてしまう所だった。
二人に言われるまで気づかなかったけど、俺……。
二人に、おめでとうって言った?
「……嘘、だろ」
二人に聴こえないように、そっと呟いた。


