俺は特に何も思わず口にした言葉だったが、二人からの異様な視線に気づき、俺は箸を止めて二人の方を向く。
そうしたら、やっぱり。
二人は俺を見つめたまま固まっている。
「?……なに?」
「いや、お前……」
父さんはなにか言いたげな表情を見せる。
……そして。
「お前、男になったなぁ~!」
なんて、ニコニコ笑いながら俺の肩を叩いた。
「は……?」
「少し寂しい言葉だけど、透もいい恋をしているんだなと思うよ」
「え、どういうこと?」
父さんの言葉の意図がよく読めず、俺は首を傾げた。
いい恋……って、俺は母さんに恋してるんだぜ?
「どういうことって……?お前まさか、気付いていないのか?」
「え?何に?」
何度も瞬きをして不思議に思っていると、父さんと母さんは目を見合わせた後、ぷっと吹き出した。
「……まあ、いい。いつか気付けるだろう」
「そうね、ふふっ」
「え、だから何に?」
二人とも、何度聞いても答えてはくれなかった。
ただ、
「手遅れになる前に気付けよ」
と父さんが言っただけだった。


