30差の片想い







 俺は特に何も思わず口にした言葉だったが、二人からの異様な視線に気づき、俺は箸を止めて二人の方を向く。


 そうしたら、やっぱり。

 二人は俺を見つめたまま固まっている。



「?……なに?」


「いや、お前……」


 父さんはなにか言いたげな表情を見せる。


 ……そして。

「お前、男になったなぁ~!」

 なんて、ニコニコ笑いながら俺の肩を叩いた。



「は……?」


「少し寂しい言葉だけど、透もいい恋をしているんだなと思うよ」


「え、どういうこと?」


 父さんの言葉の意図がよく読めず、俺は首を傾げた。

 いい恋……って、俺は母さんに恋してるんだぜ?



「どういうことって……?お前まさか、気付いていないのか?」


「え?何に?」


 何度も瞬きをして不思議に思っていると、父さんと母さんは目を見合わせた後、ぷっと吹き出した。



「……まあ、いい。いつか気付けるだろう」


「そうね、ふふっ」


「え、だから何に?」


 二人とも、何度聞いても答えてはくれなかった。


 ただ、

「手遅れになる前に気付けよ」

 と父さんが言っただけだった。