「どんな感じって……」
どんな感じも何も、今喧嘩中……ってか、きっともう一生会わないだろう。
「いやあ、それにしても可愛かったな、叶恋ちゃん」
「え………」
「あっ、焼いてる?大丈夫、俺は母さんオンリーだから」
驚く俺をよそに、「なっ?」なんて言って父さんは熱い視線を母さんに向けた。
母さんも口では「いやだぁ」なんて言っているけれど、満更でもなさそうだ。
ったく、この親たちは……。
「……まあ、大事にしてやれよ、透」
「そうよぉ、女の子ってどんなに強がってる子でも、本当は弱いものなんだから。男の透が守ってあげなくちゃね」
何を勘違いしているのか、二人にそう熱弁される。
まあ、二人に言われなくても分かってるけど。
叶恋は、明るくていつも笑っているけど、本当はとっても弱くて泣き虫だ。
変な所で強がって、でも素直だし分かりやすい。
人一倍誰かの気持ちを想えるけど、だからこそすぐ傷つくんだ。
例え、自分のことじゃなくても。
純粋で、一途で。
そんな優しい叶恋だから、守ってやりたいって思ったんだ。
……だから、俺は叶恋から離れたんだ。
叶恋のために。叶恋の恋のために。
「……でも、好きな奴に守ってもらえなきゃ、意味ないだろ」
そう呟いて、ご飯を一口。


