30差の片想い











~透Side~





 叶恋は、元気にしているのだろうか。



 ……なんて、もうずっとそんなことを考えている。


 俺から、叶恋を避けたのに。

 でも、俺は叶恋のことを嫌っている訳じゃないから、仕方ないことなのかもしれない。



「はあ……」


 なんとも言えない気持ちが、俺を包む。


 毎日毎日、気が付けば、叶恋叶恋って。

 馬鹿みてぇ。

 だけど、止めようにも止められないんだ。


 気持ちって、難しいな。



「あら、透。今日何回目かしら、そのため息」


 そうふふっと笑いながら母さんが俺の前に料理を並べる。


 そう、今から晩ご飯だ。

 しかも最悪なことに、今日は家族三人揃っている。


「何かあったの?」

 母さんが椅子に座り、全員がテーブルに集まった。


「いや、別に……」

 俺は箸を持つと、「いただきます」ご飯を食べ始める。



「透、ため息はよくないぞ」

 父さんは、ビールを飲みながらそう言った。