~透Side~
叶恋は、元気にしているのだろうか。
……なんて、もうずっとそんなことを考えている。
俺から、叶恋を避けたのに。
でも、俺は叶恋のことを嫌っている訳じゃないから、仕方ないことなのかもしれない。
「はあ……」
なんとも言えない気持ちが、俺を包む。
毎日毎日、気が付けば、叶恋叶恋って。
馬鹿みてぇ。
だけど、止めようにも止められないんだ。
気持ちって、難しいな。
「あら、透。今日何回目かしら、そのため息」
そうふふっと笑いながら母さんが俺の前に料理を並べる。
そう、今から晩ご飯だ。
しかも最悪なことに、今日は家族三人揃っている。
「何かあったの?」
母さんが椅子に座り、全員がテーブルに集まった。
「いや、別に……」
俺は箸を持つと、「いただきます」ご飯を食べ始める。
「透、ため息はよくないぞ」
父さんは、ビールを飲みながらそう言った。


