終わった。
終わった。
あの、苦しい時間も。
全部、全部。
不思議と悲しくはなくて、逆にすっきりとした気持ちになった。
もう、傷つかなくていいからだろうか。
神様にずっと願っていた。
〝この恋を終わらせてほしい〟って。
今、叶ったよ、透。
恋が終わることに寂しさは残るけど、あたしの気持ちは晴れていた。
そうか。
センセイと一緒にいても辛くなかったのは。
もう、好きじゃなかったからだ。
心の中のしこりがまた一つ取れて、少し嬉しい。
……だけど、まだあと一つ、残っている気がする。
とても大きくて、大切なこと。
それに、センセイへの恋は終わったはずなのに、あたしは今、恋している気がするんだ。
誰に……?
そんなの、分からない。
でも、一つだけ心当たりがあるとするならば。
あたしが恋しているのは、
「と、おる………?」
透の顔が、何故か浮かんだんだ。


