「ねえ、センセイ」
「ん?」
「あたしのこと、好き?」
わざと上目使いでそう聞いた。
こんなこと聞くの、絶対前のあたしだったら無理だった。
妙に本気になっちゃうし、センセイからの返答が怖かったから。
そんなことを聞けるのも、今のあたしだからだろう。
センセイは驚いた表情であたしを見つめた後、フハッと吹き出した。
「おまっ、なにその可愛くない目」
「なーっ!ひっどい!!ちょっとした悪戯じゃんっ」
可愛くない、とか禁句でしょ。
あたしだって恥ずかしかったんだから。
「ははっ……まあ、好きかな?毎日うるさいけど」
「ちょ、最後の意味分かんないんですけど」
「はははっ」
「いや、はははっ、じゃないですよ」
好き……か。
生徒としての、好き。
痛い現実だけど、今は痛くないや。
「あ、そういえば。今と同じ質問、速水からされたなぁ」
「えっ………」


