30差の片想い








 センセイの笑顔を見ても、ドキッともしない。

 ああ、可愛いなーってくらい。


 センセイの奥さんとのラブラブな話を聞いても、特にって思う。

 微笑ましいなーってくらい。


 もちろん胸を痛めないため、最近は全然泣いていない。


 一体、どうしてしまったのだろう。

 でも、そうなってしまったのだ。



「セーンセイッ」

 と言いながら、センセイの頭にチョップを入れる。


「ってぇ~!……て、またお前!」

 センセイはすかさずこちらを振り向いた。


 あたしはへへっと笑う。


「どう?パターン変えてみた」


「……はぁー、朝から元気だなぁ」


「えー?そうかなぁ」


「そうだよ、俺には真似できない」


「まあセンセイ、おじさんだからね。お・じ・さ・ん・!」


「お前、そこ強調しなくていい!!」


 そんな朝から大声で怒らなくても……

 十分元気じゃん、なんて思いながら、センセイの隣で電車を待つ。



 やっぱり、不思議だ。

 何も感じない。


 そう思って隣でニコニコ笑うセンセイを見ていたら、なんだか無性に悪戯したくなってきた。