センセイの笑顔を見ても、ドキッともしない。
ああ、可愛いなーってくらい。
センセイの奥さんとのラブラブな話を聞いても、特にって思う。
微笑ましいなーってくらい。
もちろん胸を痛めないため、最近は全然泣いていない。
一体、どうしてしまったのだろう。
でも、そうなってしまったのだ。
「セーンセイッ」
と言いながら、センセイの頭にチョップを入れる。
「ってぇ~!……て、またお前!」
センセイはすかさずこちらを振り向いた。
あたしはへへっと笑う。
「どう?パターン変えてみた」
「……はぁー、朝から元気だなぁ」
「えー?そうかなぁ」
「そうだよ、俺には真似できない」
「まあセンセイ、おじさんだからね。お・じ・さ・ん・!」
「お前、そこ強調しなくていい!!」
そんな朝から大声で怒らなくても……
十分元気じゃん、なんて思いながら、センセイの隣で電車を待つ。
やっぱり、不思議だ。
何も感じない。
そう思って隣でニコニコ笑うセンセイを見ていたら、なんだか無性に悪戯したくなってきた。


