「叶恋………」
久々に見る叶恋の顔は、とても悲しそうだった。
可笑しいな。
前も、よく見ていたはずなのに。
今では俺のせいだと思ってしまうよ。
「透、あのね……」
どうやら、叶恋は俺を待ち伏せしていたらしい。
だって今は、池の前で丸まってなどいなくて、俺の存在に気付くと俺の目の前まで駆けてきたから。
そして俯きながら、必死に話す言葉を探している。
ああ、やっぱり叶恋は小さいな。
だから、すぐに触れたくなってしまう。
優しくて、純粋で、綺麗だから。
「……仲直り、したいの」
叶恋はそう小さい声で言った後、俺を見上げた。
その瞳は、微かに濡れているが真剣そのものだ。
……嬉しかった。
俺もって、本当なら言いたい。
でも、叶恋には幸せになってほしいから。
「……なんで?」
邪魔者は、消えるのがお決まり。
だから、わざとそう冷たく言い放った。


