30差の片想い







 邪魔者は消えるのがお決まりだ。

 でももう喧嘩別れしているし……仲直りは、出来ないか。



 池の掃除をしようと池に向かう。



 もう叶恋と元の関係に戻ることは諦めがついているけど、それでもあの日々は最高に楽しかった。

 だって俺が、女と喋って笑ってたんだから。


 あんなに自分のこと話したの、初めてだった。

 あんなに人の弱さに触れたの、初めてだった。

 あんなに誰かを想ったの、初めてだった。


 初めて、優しくなれた気がするんだ。

 初めて、人に想われた気がするんだ。


 叶恋と出会って、俺、少しは変われたかな?





 そんなことを思っていたら、あっという間に池に着いた。


 でももうそこには、誰もいない……。



「透っ」


 なのに、どうして君は。

 俺の名前を呼ぶの?