まるで、まるで。
それってさ、叶恋のこと……
好き、みたいじゃん?
でもな、叶恋のことなんも分かってない俺だけど、一つだけ分かってることがあるんだよ。
叶恋の恋は、叶わない。
だって泉田は、奥さんを溺愛しているから。
そんな泉田にそんなこと言われたって、俺の心には響かない。
だからさ、もう二度と叶恋には言うなよ、そんなこと。
「……泉田先生には、関係ないですよね」
俺は泉田から目を逸らした。
その反応が泉田の勘に障ったのか、泉田はもっとキレた。
「関係あるっ!」
「ハア?ただの担任のお前に?なんの関係があるって言うんだよ……」
俺はふっと笑って、髪を掻き上げようとした。
……でも。
「俺はただの担任だ!でもな、櫻井は俺にとって大切な人なんだよっ!」
髪を掻き上げようとした手が、凍りつくように止まった。
そして俺は、ゆっくりと泉田の顔を見る。
泉田の目は、真剣だった。
大切な、人?


