きっと、俺との今の関係が嫌で泣いたんじゃないと思う。
きっと、泉田に勘違いされたことに、泣いたんだ。
泉田に、好きな相手に「速水と付き合ってるんだろう」とか言われて、きっと叶恋は悲しかっただろうな。
また現実を突き付けられて、きっと辛かったはずだ。
もしもあの日、二人で駅のホームにいなかったら?
もしもあの日、俺がラブラブな両親を見ても悲しい顔をしなかったら?
俺が、自分の気持ちを押し殺すことが出来たのならば。
そうしたら、泉田が勘違いすることはなかったのだろうか。
そうしたら、叶恋が傷つくことはなかったのだろうか。
俺のせい、だ。
叶恋の気持ちが分かるからこそ、俺は自分を責めた。
なんだ、なんだ。
泣かせたのは、俺じゃないか。
ははっ、なにが泉田が泣かせた、だよ。
なにが殴りたい、だよ。
俺じゃねえか。
叶恋のことを分かってるフリしてんのは、俺だ。
仲間?叶恋のことをこんなに傷つけてるのに?
虫が良いにも程がある。
「……櫻井は言うなって言ってたんだけど…俺、我慢できなくて。だってさ、目の前で生徒が泣いてるんだぜ?」
俺は黙り込んだ。
何も、言い返せなかった。
「……櫻井のことを愛しているならな、泣かせんなよ!」
そうやって俺が自分を深く責めていると、泉田がそう怒鳴った。
その言葉に、再び俺は驚く。
……どういう意味、だよ。


