30差の片想い







 きっと、俺との今の関係が嫌で泣いたんじゃないと思う。

 きっと、泉田に勘違いされたことに、泣いたんだ。


 泉田に、好きな相手に「速水と付き合ってるんだろう」とか言われて、きっと叶恋は悲しかっただろうな。

 また現実を突き付けられて、きっと辛かったはずだ。



 もしもあの日、二人で駅のホームにいなかったら?

 もしもあの日、俺がラブラブな両親を見ても悲しい顔をしなかったら?

 俺が、自分の気持ちを押し殺すことが出来たのならば。


 そうしたら、泉田が勘違いすることはなかったのだろうか。

 そうしたら、叶恋が傷つくことはなかったのだろうか。


 俺のせい、だ。

 叶恋の気持ちが分かるからこそ、俺は自分を責めた。


 なんだ、なんだ。

 泣かせたのは、俺じゃないか。


 ははっ、なにが泉田が泣かせた、だよ。

 なにが殴りたい、だよ。


 俺じゃねえか。

 叶恋のことを分かってるフリしてんのは、俺だ。


 仲間?叶恋のことをこんなに傷つけてるのに?

 虫が良いにも程がある。



「……櫻井は言うなって言ってたんだけど…俺、我慢できなくて。だってさ、目の前で生徒が泣いてるんだぜ?」

 俺は黙り込んだ。

 何も、言い返せなかった。




「……櫻井のことを愛しているならな、泣かせんなよ!」


 そうやって俺が自分を深く責めていると、泉田がそう怒鳴った。


 その言葉に、再び俺は驚く。


 ……どういう意味、だよ。