どうしてそんなことを聞いたのか?と思った。
どうして俺が話題に上がったのか?と思った。
「俺、見たんだ。お前ら二人が仲良さそうに駅のホームにいたの」
「……っ」
それはきっと、あの日のことだろう。
俺の家に、叶恋が上がった日。
その帰りか……。
「あまりにも仲良さそうだったから、何となく分かってたけど……彼氏いるかって櫻井に訊ねた時、はっきりと分かったよ。お前ら、付き合ってるんだな」
俺は一瞬にして背けていた顔を泉田に戻した。
こいつ、何言ってるんだ……?
俺と叶恋が、付き合っている?
ふざけてるのか?
今やっと、分かった。
泉田は、かなり鈍感だ。
だから、叶恋の気持ちにも気づかないんだ。
本当は、今の今まで気づかないフリをしてるのかもって少し疑ってた。
でもどうやら違うみたいだ。
叶恋のこと、分かったフリしてんじゃねえよ。
そして鈍感だからか、俺の明らかな戸惑いにも気づかない。
「んんっ…櫻井はな、お前とのことを聞いたら泣いたんだぞ?」
でも、泉田のその言葉は、俺の心を突き刺した。
叶恋は、俺のことを聞かれて泣いた……。
つまり、あいつがあんなに頑なに堪えていた行為を、俺がさせた。
俺のせいで、叶恋は初めて泉田の前で泣いたんだ……。


