どれだけ池の前で泣いていても、決して泉田の前では泣かなかった叶恋が、泉田の前で泣く?
そんなの、信じられない。
「……?ああ、そうだ」
「ま、た、なんで……」
「?どうかしたのか?」
不思議そうな泉田の声に、全てを悟った。
そうか、こいつがまた、変なこと言ったんだ。
俺は、泉田を睨んだ。
教師なんて、気に出来なかった。
どうしてお前は、叶恋を傷つけることしか出来ないんだ?
俺じゃ、ダメなんだよ。
お前じゃなきゃ、叶恋を幸せに出来ないんだよ。
なのに、どうして。
いつだってお前は叶恋の気持ちに気付かない。
いつだってお前は、叶恋を傷つけている。
今にも殴りかかりそうな気持ちを必死に堪えた。
俺がどうのこうの言ったところで、こいつは、叶恋の現実は変わらないからだ。
「……なんでも、ないです」
必死に平静を取り繕った俺は、泉田から顔を背けた。
「……櫻井に聞いたんだ。お前と、速水とどうなんだ?って」
俺は目を見開いた。
一瞬、思考が停止した気がした。


