30差の片想い






 つい、叶恋と俺を重ね合わせてしまって。

 叶恋の気持ちを、辛いって言いながら泣いている姿を知っているから。


 だから、呑気な泉田がムカつくんだ。

 どうしようもなく、イライラすんだよ。


 ……叶恋は今も、泣いてんのかな。

 俺も行ってないから知らないけど、あの日以来池に来てないみたいだけど、大丈夫なのかな。

 辛くないのかな。


 俺が、あの場所を取ったせいだよな……。


 またそうやって、俺は後悔している。





「……いや、本題に入ります。はい」

 泉田は俺が怒っていることに気付いたのか、そう姿勢を正して言った。


 そして、今度は真面目な顔で、

「櫻井の、ことなんだが」

 と言った。



 俺にそんなことを話す理由は分からないが、俺のクラスの担当教師ではない泉田と俺には何も接点がないから、なんとなく叶恋のことだと思っていた。



「……はい」


「……櫻井が今朝、泣いてた」


「えっ………」


 でも、驚いた。

 叶恋が、泣いていた?


 それって、

「もしお前が櫻井のこと……」


「ちょ、待って。それって、泉田先生の前で?」


 そう、それが疑問。