30差の片想い







 でもね、こんな予想外の質問されたら、そりゃあ、こうなるでしょう?



 何も気持ちがないから、悲しいの。

 意味のない質問だから、切ないの。


 全部見えてるから。分かっているのに勘違いしてる自分がいるから。

 だから、辛くて、苦しいの。




「……な、んで?なんで、そんなこと聞くの?」

 俯いて必死に涙を堪えながら、そう訊ねた。


 センセイはやっぱり、変わらない。

 動揺一つ、見せない。

「え?やっ……なんとなく?でも、今の反応でなんとなく分かったから、いいや」


「……なにが、分かったの?センセイに、なにが分かるの……っ!?」


 それが悔しくて、辛くて、どうしようもなくて。

 気づけば、そう大声で叫んでいた。


 だけどあたしは、涙だけは堪えた。

 見せたくなんて、ないから。

 大好きだから。絶対にセンセイを困らせないって、決めたから。


 でも、限界だよ。

 辛いの。涙は流さないけど、でも、辛い。



「……櫻井」


「っ……」


 センセイの心配そうな声色に、あたしは我に返った。


 ああ、なんて馬鹿なんだろう。

 なんで、こんなに弱いんだろう。