「透が連れてきたのよ」
透のお母さんはそう、嬉しそうに言った。
その言葉を聞いた透のお父さんは、優しく微笑むと「そうか」と言った。
「は、初めましてっ!お邪魔してます」
「初めまして。透の父です」
「あたし、櫻井叶恋です!」
ちょっと緊張しながらそう挨拶すると、透のお父さんはにこっと笑って透の方を見る。
「へえ……可愛い子だね、透」
「……別に、そういうんじゃないから」
「透はずーっとそう言ってるのよ」
優しい笑顔の透の両親。
一方、透は。
「っ……」
透の顔を盗み見た時、泣きそうになった。
あたし、関係ないのに。
……透の顔に、笑みは一つも浮かんでいなかった。
透の顔は、悲しそうで、切なそうで、今にも泣きそうで、今にも崩れそうで。
きっと、現実をまた、突きつけられてしまったからだろう。
きっと、透の心は今、とてつもなく苦しいんだろう。
今日、気付いたことがある。
透を包むこの家は、とても優しい。
お母さんも、お父さんも。
透のことをとても大事に思っているのが、二人の瞳の色から手に取るように分かる。
いつだって、優しい眼差しを透に向けているから。


