「……と、とにかく!本当に付き合ってるわけじゃないから!」
透はまるで勘違いするなと言わんばかりに、そう透のお母さんに釘を刺した。
「はいはい、分かったって」
透のお母さんが必死な透に少し呆れた様に笑った時、
「ガチャッ」
ドアの開く音がした。
あたし達は三人とも、その音を聞きドアを見つめる。
「あら、帰って来たのかしら」
透のお母さんは嬉しそうにそう言うと、徐に立ち上がった。
帰って、来た?
誰が?
そう疑問に思ったのもつかの間、リビングのドアが開かれ覗いた顔を見て、理解した。
「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
「どうだった?交流会」
「なんであんなのしないといけないのか分からないよ、本当」
「仕方ないわよ、ここの決まりなんだから」
リビングに入ってきて、今透のお母さんに愚痴を言っているのは、神主さんの服を身に纏ったカッコいい男性。
疲れた、なんて言いながら鞄を透のお母さんに渡している。
その格好と動作から、一瞬にして透のお父さんだと分かった。
ってか、この家美形揃い過ぎじゃない?
なんて思っていると、
「ん?そちらのお嬢さんは?」
透のお父さんがそう言って、あたしを見つめた。


