30差の片想い







「……と、とにかく!本当に付き合ってるわけじゃないから!」


 透はまるで勘違いするなと言わんばかりに、そう透のお母さんに釘を刺した。


「はいはい、分かったって」


 透のお母さんが必死な透に少し呆れた様に笑った時、

「ガチャッ」

 ドアの開く音がした。


 あたし達は三人とも、その音を聞きドアを見つめる。


「あら、帰って来たのかしら」

 透のお母さんは嬉しそうにそう言うと、徐に立ち上がった。


 帰って、来た?

 誰が?


 そう疑問に思ったのもつかの間、リビングのドアが開かれ覗いた顔を見て、理解した。




「おかえりなさい」


「ああ、ただいま」


「どうだった?交流会」


「なんであんなのしないといけないのか分からないよ、本当」


「仕方ないわよ、ここの決まりなんだから」


 リビングに入ってきて、今透のお母さんに愚痴を言っているのは、神主さんの服を身に纏ったカッコいい男性。

 疲れた、なんて言いながら鞄を透のお母さんに渡している。


 その格好と動作から、一瞬にして透のお父さんだと分かった。

 ってか、この家美形揃い過ぎじゃない?



 なんて思っていると、

「ん?そちらのお嬢さんは?」

 透のお父さんがそう言って、あたしを見つめた。