「たしかに、俺は、俺が王族だからって媚び売ってくるやつは嫌いだ。でも、あんたみたいなやつは……別に嫌いじゃねぇよ。」

「……!!」

「か、勘違いするなよ!?ただ嫌いじゃないってだけで、好きなわけじゃない!」

目元を赤く染め、神の血を引く青年は言った。

「……だけど、あんたのさっきの言葉……嬉しかったよ。だから、その……。」

くるりと白翠に背を向け、小さい、囁くように言った。

「その……なんだ……。

…………あり、がとう。」

「っ!」

頬に熱が集まるのがわかる。
白翠は急いで斎葵に背を向けると一目散に逃げ出した。
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静かだ。
それもそのはず。

この場所には普段は人は来ない。