「あ!」
学校が近づき、登校する生徒の数が増えた頃、突然優子が声を上げた。
視線の先には、女子生徒たちに囲まれた、例の周防先輩。
「すごいね……」
私は思わず、そんな感想を漏らした。
あれが俗に言う《親衛隊》と言うやつか。
先輩が長身のおかげで、辛うじて見えるけど、ずっと笑っているだけで、何かを話している様子はない。
「先輩、今日もかっこいい……」
「でも、優子、競争率とか高そうよ?」
苦笑気味にそう言うと、優子は両手をぐっと握って、「決めた」と瞳の奥を燃やしていた。
「凛!私、昨日の夜にね、《今日の朝、先輩と会えたら告白する》って決めてたの!そしたら、こうやって会えた!これって、神様が私に《告白しろ》って言ってるのよね!?」
「え、あー……うーん?で、でも、親衛隊とかすごいじゃん!どうやってすんの?」
すると優子は私の手を掴むなり、周防先輩とその親衛隊を追い越して学校へ走り出した。
