Secret Lovers

二限をサボったことは、しっかりと担任の三田(みた)先生の耳に入っていたらしく、三限後の休み時間に呼び出されてしまった。
優子はまだ少し目が赤かったが、ある程度化粧直しを済ませてあったため、充血さえ引けば、ほとんどいつも通りだろう。

「あのさぁ、佐川、河野。俺も真面目な高校生だったかと訊かれたら、まぁ、ちょっとばかりやんちゃだったかもしれない。けどな、入学して、まだ一ヶ月だぜ?授業サボって屋上で駄弁ってましたって、どこのヤンキーだよって話だよ。先生は悲しい。こんな不良生徒に育てた覚えはありません」
「一ヶ月足らずで何を育てられるんですかねぇ」
「佐川、そこは突っ込むな」

三田はあまりやる気はないタイプだが、薄情な人でもない。
体裁のために口頭での厳重注意の形を取っているが、深い事情は聞こうとしないし、頭ごなしに叱ったりはしない。
生徒には生徒の事情があるのだろう、といった様子だったし、私たちにはその態度で助かったとすら思っていた。