それでも、私は、周防奏多を許したくなかった。
恋愛は確かに当人の問題だし、相手に応えられないこともあると思う。
でも、それは私の親友を傷つけていい理由にならない。
「……ねぇ、優子」
「なぁに?」
「例えば、向こうから告白してきたとして、それを告白された人が振るっていうのは、理由がどうあれ、フェア?」
どうにかして、周防奏多の頭を下げさせたい。
私の親友の敵を取りたい。
「優子、私が、あの男から謝罪の言葉引きずり出してくる!」
「え、でも、どうやって?」
困惑している優子の手をギュッと私は掴んだ。
安心して、と。
「あいつを私に惚れさせて、こっぴどく振ってやるの!」
優子のクリクリした瞳が大きく見開かれた。
多分、とんでもないことを言ってるんだろうな、と、自分でも分かっていたけど、言葉は止まらなかった。
