私達は無言のまま車に乗り込んだ。
重い空気に堪えきれなくて、考えてた事を思わず口に出してしまった
「中川家くん、大丈夫かな?」
「何が…!?」
もこみちの返事は冷たく、感情の入ってない声は、私をなんだか悲しくさせた。

「…ちゃん気分悪い!?確か車に弱かったよね。俺の運転荒かった!?
ゴメン
その先で車停めるから…」

私が答える間もなく車は、河原横の空き地に止められ、私は河原に連れ出された。

「気持ち悪いなら
吐きなよ!」

オロオロしながら
もこみちが私の顔を覗き込んだ。
本当に私が吐き気があったら。
私の顔を覗き込む、もこみちの行為はある意味危険な気がして思わず笑ってしまった。

「大丈夫…吐き気ないし、車酔いじゃないから有り難う」

笑顔で答える私に、もこみちは、ホッとした表情を見せた。

「…ちゃん。真面目だよね…
学生時代校則を破った事ないタイプじゃない?」
「校則を破った事ないけど…真面目だからじゃなくて
破る必要性が自分になかっただけだし、クラス委員長にならないかと担任に言われた時は、断ったよ担任には、お前はそんな奴なのかって怒鳴りつけられたよ
だから真面目じゃないよ…」
私の言葉に、もこみちが鼻で笑った。
「クラス委員長頼まれる時点で真面目じゃん…俺らの工業高校時代の事聞いたら、…ちゃん、ひくんじゃないかな…嫌われる…かな…」

もこみちが私の横にしゃがみながら、そう呟いた。
大きな、もこみちが小さく見えた。