「俺の話を聞いて
素面じゃ聞けない時は、このカクテル呑んで良いから…」

中川家の言葉に私は不安になった。
素面では聞けない話…。
烏龍茶をチビチビ呑みながら、私は中川家の言葉を待ったがなかなか中川家は口を開かない。
沈黙に耐えきれず私は中川家に質問した。

「話って何?」

私の言葉に中川家が口を開いた。

「…さっき後輩と何を話してたの!?」

私の質問に対して
中川家は私に質問で返した。
答えずに質問返しは狡い気がしたが、中川家はそれ以上喋る様子もないので、私は答えた。
「別に、付き合ってるんですか?って聞かれたから、そうだよって答えただけだよ。」
事実だが、私は会話の半分しか言わなかった。
中川家が探るように私を見る。
「それだけ…?」
私は言葉に詰まった。
嘘は嫌いだ…
だけど…
本当の事を言ってはいけないと…
シグナルがなっている…。
「…じゃないけど
言わない…よ…」

私はそう答えるのが精一杯だった。
中川家が煙草に火を付けた。
今まで煙草を吸わない私に気を使ってくれていた中川家が、初めて私の前で煙草をふかした。

「以外だね…ちゃんって、駆け引きするんだ。」
中川家の低い声に驚いて、私は中川家の目を見た。
目が据わっていた。酔ってるのだろうか…!?
テーブルの上のグラスを見た、ウォッカもカクテルも空になっていた。
私は、背筋に寒気を感じた。
こんな中川家を見た事がなかったからだ。
私は烏龍茶を一気に呑む。