【短】50-50 フィフティ・フィフティ



すかさず、ワタルが身を乗り出した。


「マスター、いい事言う!
あ、3人で乾杯しませんか?
マスターの分、俺、奢ります!」


「ありがとうございます」


松本さんがかしこまって、頭を少し下げた。


私は頬杖をついて訊く。


「何に乾杯するの?」


「そうだなあ……」



天井を見上げるワタルの長いまつ毛は、女の子みたいに上向きにカールしてる。


「俺達の愛と、『ロミオ』マスターとの出逢いに。

……乾杯!」


キザにカクテルグラスを掲げるワタルに、私も自分のグラスを近付けた。

マスターも軽くグラスを持ち上げる。


「乾杯」


「はあい、乾杯ね!」



3つの華奢なグラスがぶつかり合い、カチン、カチン、カチンと美しい音色が響いた。










『50-50 フィフティ・フィフティ』

fin