【短】50-50 フィフティ・フィフティ



「桜ちゃん。その辺で勘弁してやったら?」



私とワタルの前に、スッと2杯目のカクテルが置かれた。


カウンターの向こうにいるのは、髭を生やした蝶ネクタイの男。


親しげに私の名前を呼ぶのに、ワタルの眉が一瞬ピクリと動いた。


「もう、マスター軽く言わないで!
私、すごく傷付いたんだから」


私はグラスを手に取り、頬っぺたを膨らませた。


「あれ?仲良さそうだけど、2人は知り合い?」


ワタルが、グラス磨きをするマスターと私を交互に見る。


「桜ちゃんは、高校の後輩なんですよ。世代は違いますが」


渋い声で答える松本さん。



その声…いいなあ。子宮にジンジン響く…

昼間の感覚が蘇り、身体が疼いてしまう。


へえ、そうなんだ、とワタルは頷き、カクテルを啜る。


「こうして、カレシが東京から追いかけて来てくれたんだから、フィフティ・フィフティって事にして仲直りしたら?

カレシの言葉を信じてあげてさ」