【短】50-50 フィフティ・フィフティ



静かにジャズが流れる店内。

飴色の照明の店内は、とてもロマンチックなムード。


ステンドグラスの光の影が、私の手に覆いかぶさった男の手に虹のような美しい模様を映し出す。


ワタルの指は、細くて長い。
ピアニストみたいだ。



「……桜、ごめんな。これからはお前一筋に生きるから」


お酒に弱いワタルは、1杯のキールでもう酔ってる。


「ん?そのセリフ、前もきいたことあるなあ…」


カウンターの上で手を握られたまま、私はツンとソッポを向く。


「なあ…赦してくれよ。誤解されても仕方ないけど。
あの子が勝手に押し掛けて来たんだ。
私、看護師に向いているか悩んでるって。
話きいたら、帰ってもらうつもりだったし」


「どうだか…ワタル、草食の皮を被った性獣だもん」


「んなことねえよ。桜にだけだって…
でも、嬉しいよ。
お前の生まれ育った町を見れて。
ここに呼んでくれたのは、俺を赦す気があるからだろう?」


「ふーんだ。ただの気まぐれです」


言いながら、私はクスクス笑い出していた。


「あ、ひでぇ!
師長に嫌な顔されながら、突発休暇取って、電車に2時間半も揺られてここに来たのに~
俺を弄ぶなよ~」


茶髪の頭を掻き毟るワタルに、
私は、ククッと笑った。