愛してもいいですか





「日向、そろそろ私あがるから」



それから時刻は過ぎ、時計の短い針が『18』の文字を指す頃。

その一言とともに私は席を立ち、帰り支度を始めた。



「はい。今日も一日お疲れ様でした。俺はもう少し居残りしますんで」

「そう。私は帰るから。私は真っ直ぐ帰宅するから、日向はいつも通り帰るといいわ。いつも通りね!」

「え?あ、はい」



『いつも通り』を強調し言うと、ショルダーバッグを手に取りスタスタと社長室を後にした。

いつもならこのまま帰路へつく。けれど今日は違う。一度会社を出て、駅までの途中にある小さなカフェに入り、道路側を見張ることが出来る座席へ座り日向が通るのを待つ。



そう、日向にプライベートを聞くのは気が引けるし、でも知りたい。そんな私のとった手段は、ずばり待ち伏せだ。

これもバレたらバレたで気まずいけど……それならバレなければいいんだもんね。



そうコーヒーを飲みながら時間を潰すこと、二時間。

既に真っ暗になった外に、まだ帰らないのかしら、と待つのにも飽き始めていた頃、不意にカフェの前を歩いて行く日向の姿。



きた!

スタスタと行くその姿に、私は急いで会計を済ませると店を飛び出し追いかける。