平気で異性に触るし、ああいった軽率なことだってする。そんなことばかりして、あの男いつか刺されるんじゃないの?
そんなことを考えながら一番奥のフロアを目指し廊下を歩く。
「ねぇねぇ、さっき下に日向さんいたの見た?」
すると、通りがかった広報部のフロアから聞こえてきた声に思わず足を止めた。
「見た見た、相変わらず格好良かったよねぇ」
「オシャレだし笑顔も可愛いし、あれで仕事も出来るんだから最高だよね〜」
その部屋にいた二名ほどの女性社員は、きゃっきゃとはしゃぎ会話に花を咲かせている。
先ほど聞こえた『日向』の名前の通り、その内容はどうやらあの男の話らしい。
あの見た目に性格、おまけにいつも隙あらば女性に声をかけているだけあって、その評判はなかなかだ。
……確かに見た目もいいし仕事も出来るけど、あんな軽い男を『最高』なんてありえない。
くだらないとでもいうようにふん、と鼻で笑う私に気付くことなく彼女たちは会話を続ける。
「やっぱり彼女とか、いるのかなぁ」
彼、女……。
そういえば、思えば日向から『彼女』だ何だという話は聞いたことがない。だからこそ気にしたこともなかったけど……言われてみれば、彼女くらいきっといるよね?
『彼女』、その響きに心がどこかモヤとする。
け、けど!彼女がいるのにあんなだらしないことしてると思うと余計許せないかも!そうよ、本当最低!



